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「海の闇月の影」まるで少女マンガ版「ジキル博士とハイド氏」!双子が主人公だからこそ人間の二面性を上手く表現できるサイキックホラーの名作!

こんばんは、ゆこです。

あなたは少女マンガを読みますか?

 

今回はちょっと怖いけれど深く考えさせられる

それでいてオモシロイ少女漫画をご紹介します^^

未知のウイルスに感染した双子姉妹の末路!2人の主人公が同じ顔と姿であるがゆえに善と悪、運命の分かれ方が嫌になるほどわかりやすい!

秋もだいぶ深まってきましたね。

夜を長く感じ始めると、なぜか書物が読みたくなります。

 

でも、仕事で疲れてるのに帰ってからも難しい書物を読むなんて嫌

そんなあなたに面白い少女マンガをオススメします。

 

海の闇 月の影

少女まんがをお好きな方なら

題名くらいは聞いたことがあるのではないかと思います。

著者は篠原千絵さん。

小学館が刊行する少女コミックにおいて

ヒット作を次々と生み出している女流漫画家さんです。

 

近年の大ヒット作といえば

天は赤い河のほとり

天は「そら」と読みます^^

 

オススメする少女マンガとして

天は赤い河のほとり

ご紹介させていただきました☆

 ⇒アラフォー必読!?長期休暇(夏休み)で読破できるAmazon・楽天でおすすめマンガセットBEST7!~少女編~

 

天は赤い河のほとりの2作前に描かれた作品

それが海の闇 月の影です。

(※「天は赤い河のほとり」の前に描かれた作品は蒼の封印

こちらもオススメです^^)

 

それでは、海の闇 月の影

まずはあらすじを見てみましょう。

「海の闇 月の影」あらすじ

仲の良い一卵性双生児の姉妹・小早川流風(るか)流水(るみ)

2人は陸上部の先輩である当麻克之に同時に恋をしたが、克之が選んだのは流風だった。

 

双子といえど、違う人間である二人はいつかは別々の道を歩まなくてはいけない。これが最初の一歩だと二人は感じていた矢先、送別会としてキャンプに出かけた女子陸上部の面々は、雨宿りで入った古墳の中で壁が崩れた途端に異臭を感じて倒れてしまう。

皆が息絶えていく中で、双子だけが生き残った。

古墳の中には現在では考えられないような、感染したものに超能力――宙に浮く能力、物体をすり抜ける能力――を与えるウイルスが蔓延していた。

他の部員はそのウイルスが原因で死亡したが、双子はウイルスに適応できたために生き残れたのだった。

一卵性双生児の双子である流風と流水。2人の性格・体質はまったく同じとはいえ、感染時の双子の心境には天と地の差があった。

それは当麻克之への恋情――流風は恋の成就であり、流水は失恋をしていた。

 

失恋による激しい悲しみと流風への微かな嫉妬を感じていた流水は、ウイルスにより負の感情を増幅させられ、冷酷で残忍な性格となってしまい、超能力を使って克之を我がものとするため流風を殺害しようと画策するようになる。

さらに流水は自身の血によって他人をウイルスに二次感染させることで他者を自由自在に操る力を身につけ、流風に対し次々と罠を仕掛けてゆく。

自身の負の感情に扇動されるかのように他者を利用してまで、流風殺害を続ける流水。そんな流水に対抗するうちに、流風はそれに対する免疫抗体を体内に持つようになったと判明し、流風は克之と共に流水と対抗する決意をする。

克之の父からの連絡によってイギリスより来日したジーン・アルバート・ジョンソンは、天才的な頭脳でウイルスを分析、自ら感染、改造し、新たな能力をつくって様々な人間を実験台にした。

そして彼は一つの薬をつくる。

それは流風の血を混ぜれば流水に操られている者を正気に戻せ、流水の血を混ぜれば既に流風の抗体を受けた者をも感染させられるというものだった。

 

その薬の処方せんは5枚に分けられ、ジーンの創った新たな能力を持つ者たちに受け継がれた。

人々の正気を取り戻そうとする流風と克之、克之が服従せざるを得ない権力を手に入れようともくろむ流水。

流風と流水は、ときに争いながら、しかし共通の敵となる者に対しては互いに協力しつつ、新たな能力者たちと出会い、5枚に分けられた処方箋を手に入れようとする。

互いの愛憎を複雑に絡ませながら――

Wikipedia「海の闇 月の影」あらすじより抜粋~

一卵性双生児であり、顔も体も性格も

まったく同じであるという設定の流風流水

そうやって考えると海の闇 月の影のストーリーは

双子の妹である流風を主人公とし

視点に置いて描かれてあるものの

流水もまた、主人公の一人であると言えます。

 

それは流風と流水が表裏一体の存在であるからです。

 

篠原千絵さん「海の闇 月の影」主人公である

流風と流水は人間が生来持つ「善」「悪」

それを双子姉妹に分けて、うまく描いています。

 

流水が流風と同じ顔をして悪事を行い

負の感情に煽られるまま平然と人を殺す姿を見る。

 

流水はウイルスによって煽られた負の感情を

自分自身では抑えることができず、

結果として、殺人や他人を操っての悪行を犯します。

流水の行動が冷酷非道であればあるほど

流風の人間らしい悪に対しての悲しみの涙や

その清い心が浮き彫りになります。

 

同じ顔だからこそ、人間の感情は

裏と表があると強く感じることができるのです。

 

そんな対照的な流風と流水の存在は

まるで英国文学にある

「ジキル博士とハイド氏」のようでもあります。

 

ロバート・ルイス・スティーブンソンの名作

ジキル博士とハイド氏

ジキル博士とハイド氏のあらすじもチェックしましょう☆

ジキル博士とハイド氏のあらすじ

表向きは善良な紳士であるヘンリー・ジキル。

しかしハイドには最悪な欠点があり

それは快楽への旺盛な欲望の二面性だった。

 

これをひそかに満たすために

ジキルは完全な二重生活を生きてきた。

 

その後、ジキルは科学的実験を重ねて

善悪二要素の完全な分離の可能性を追求し

人格から悪の側面のみを切り離して

別人格を出現させる薬品を発明する。

 

これを用いてエドワード・ハイドという別人に変身するようになった。

 

ハイドに変身したジキルは欲望の赴くまま

傍若無人にふるまうようになり

やがて殺人を犯してしまう。

 

さらに、やがてハイドへの変身は

ジキルが眠っている間にも起こるようになり

やがて薬品を用いずとも

半ば自然発生のようにハイドへ変身するようになってしまう。

 

友人の力を借りてジキルに戻る薬を作ってもらうことで

ジキルに戻ることができるようになるが

自然発生的なハイドへの変身は止まることはなく

ジキルへ戻るための薬を飲む量だけが増えていった。

 

やがて、ジキルへ戻るための薬の材料が枯渇してしまい

新たな材料を手に入れて調合しても

元に戻るための化学反応は起こることがなくなった。

 

最終的に、ヘンリー・ジキルは残った人格があるうちに

手記という形で、心配してくれた友人たちへ手紙を残し

「私は、あの不幸なヘンリー・ジキルの生涯を閉じる」

そう最後を締めくくってストーリーは終わりとなる。

(※実際にジキルが死んだのかどうかは、作品上で語られていません)

Wikipedia「ジキル博士とハイド氏」より抜粋~

一人で善悪の二面性を描いた作品として有名な

「ジキル博士とハイド氏」

この作品ではヘンリー・ジキル

エドワード・ハイドとなって罪を犯します。

 

ハイドの悪行に驚きつつも

ジキルは欲望のために、悪行を止めることができません。

 

まったく違う外見を手に入れて

悪行の数々を行っても知られることがないという

安堵感を得たジキルは、欲望のままにふるまう

この欲望を捨て去ることができなかったわけです。

 

「海の闇 月の影」では容姿は変貌しませんが

流風流水はまさに、ジキル博士ハイド氏そのものです。

 

しかし「ジキル博士とハイド氏」

海の闇 月の影が決定的に違うところは

後者が少女マンガであるということ。

 

作品の根底にあるものは

「ジキル博士とハイド氏」のような

人間の二面性――人間が心に持つ善悪の感情よりも

貫き続ける「愛」にあるのだと思います。

 

それは流風流水姉妹愛もありますが

作品のキーポイントとして登場しているのが

ヒーローである「当麻克之」です。

陸上部の先輩であり、流風へ告白したことで

流風と流水の運命を一変させた克之。

ある意味、一連の騒動の原因と言っても過言ではないでしょう。

 

克之はどんな障害が起ころうとも

流水によって、不幸のどん底に落とされようと

流風のことを考えて行動し、流風への愛を貫き続けます。

 

さらに顔も体もまったく同じの流風流水

克之だけは絶対に間違えないという設定があります。

海の闇 月の影を読んでいると

もはや超能力としか思えない克之の観察眼なのですが(笑)

その流風と流水を見極める目があるからこそ

さらに流水は苦しむことになるのです。

 

流水が欲しいものは克之。

当麻克之から得られる愛だけ

 

しかし、どんなに流水が画策しても

克之が流風と流水を間違えることはなく

逆に克之と流風を苦しめることによって

流風と克之の愛はますます深まってゆく――

 

それは同時に、流水のなかにある嫉妬からくる憎悪

それら負の感情を増幅させるだけとなり

永遠に克之が手に入らない男性だと自覚し

さらに苦しむ結果となります。

また流水にはウイルスに感染する前の

流風と同じように優しかった頃の人格が残っています。

 

殺人を犯すたび、他人を操るたびに傷ついてゆきます。

非情な殺戮を繰り返している流水だからこそ

読者からすれば、彼女の苦しむ姿が重いのです。

同時に、悪魔と化した流れる水の姿を見て苦悩する流風。

愛している克之の両親を殺しても平然としている双子の姉。

同じ人を愛していても、同じ心を持ったはずの姉は

愛する人の両親を平気で殺せるような人物に変貌してしまった。

 

流水は流風とは正反対の行動をすることで精神的に流風を追い詰めてゆきます。

こんな双子姉妹の悲痛な運命を読み進めるうちに自然に考えてしまうのです。

 

たとえば流風が失恋していたら――

告白されたのが流水であったのなら――

 

もし、私が同じ状況に置かれたら、どうするだろう――

 

そんなふうに主人公2人の感情を

自分自身へ投影させて考えるわけですね。

 

流風流水の感情は誰にでも持ちうることが可能なもの。

誰もが持ち、ひた隠し、ときにさらけ出すこともある

深い愛情と憎悪なのです。

 

流風と流水はまさに、読者自身にとっての

善悪表裏一体の姿でもあるわけですね。

そう思わせるのも、流風と流水が双子であり

同じ顔と体を持っているから。

 

そうやって見れば、「海の闇 月の影」

とても奥深く、同時に面白い内容だと思えるのではないでしょうか。

 

「海の闇 月の影」はコミックスだけではなく

文庫版としてコミック化されて販売されています。

「海の闇 月の影」文庫版 コミック 全11巻完結セット (小学館文庫)

人間が感情のままに魅せる愛憎劇。

機会があれば、ぜひ読破してみてくださいね!

 

秋の夜長の暇つぶしには充分なくらい面白いですよ☆

 

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